この記事の【目次】
世の中に存在するモノの価格は、すべて「需要と供給のバランス」で決まります。
経済学においてこの「需要と供給」の概念は非常に重要です。
この2つのバランスをしっかりと理解しビジネスに活かしていきましょう。
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分業により市場経済ができた
「分業」によって商品やサービスの交換が生まれ、生産と消費のバランスを調整する仕組みが必要となりました。
これが、市場経済と呼ばれる仕組みです。
この市場経済では、国が生産や分配を管理するのではなく、個人や企業が自由に売買を行うことができます。
基本的には、売り手と買い手が中心となり国による調整が少し入ります。
この市場経済は、大きく分けて以下の3つの市場から成り立ちます。
参考:【ミクロ経済学2】分業がもたらす3つのメリットとは?特化型分業によって市場経済が発達した。
財市場
財市場とは、財(商品)やサービスが取引される市場のことです。
以下のように、人々がお金を払って購入するものすべてが含まれます。
- 食料品
- 衣類
- 電化製品
- 車
- ITサービス
- 理容
- 病院
財市場においての供給者は「企業」、需要者は「一般の消費者」です。
労働市場
労働市場とは、企業が一定の労働条件のもとで人々を雇い、その人々が仕事をする市場のことをいいます。
従業員は会社のために働き、企業はその対価として賃金を支払います。
先述した財市場とは逆で、労働市場においては供給者が「一般の消費者」、需要者が「企業」です。
参考:【ミクロ経済学5】「労働市場とは何か?」をわかりやすく解説!需要と供給のバランスで賃金が決まる。
資本市場
資本市場とは、銀行の預金や株式投資、社債などのように、人々が企業などに対してお金を投資する市場のことです。
一般の消費者が預けたお金を企業が運用し、利益を配当金や利息として支払います。
この場合、供給者が「一般の消費者」、需要者が「企業」です。
参考:【ミクロ経済学6】「資本市場とは何か?」をわかりやすく解説!企業の資金調達方法についても学習しよう。
「価値」の考え方
経済学の父と呼ばれるアダム・スミスは「水とダイヤモンドのパラドックス」という価値に関する有名な例えを考えました。
これは、物の価値には「交換価値」と「使用価値」があるという考え方です。
「交換価値」は取得に必要となった費用、とくに労働量の大きさを表し、「使用価値」は使用することによって得られる便益の大きさを表します。
例えば、ダイヤモンドは非常に高い交換価値があり、手に入れようとすると、とても大きな対価を支払う必要があります。
しかし、実際の使用用途を考えるとほとんど役に立ちません。
一方で、水には生きる上での欠かせない使用価値があります。
飲み水としてはもちろんのこと、清掃、水上交通、農業散水など様々な使い道があります。
ところが、水は極めて安価であり、交換価値は非常に低いものです。
このアダム・スミスの考え方は、デビッド・リカードによって引き継がれました。
しかし、理論思考の強いリカードは、価値の基準として「交換価値」の方が明確であると考え、「使用価値」の概念を捨て「労働価値説」を創りあげました。
これは、物の価値は生産に投入された労働量あるいは、労働時間の大きさで決まると説明する理論です。
ダイヤモンドは鉱山を探したり、その鉱山を切り開いたりするのに多大な労働力がかかるから価値があり、水は何もしなくても空から降ってくるから価値がないといったものです。
しかし、この考えはピカソを代表する芸術の世界において行き詰ります。
ピカソが描く絵も、二流画家が描く絵も、労働力という観点から言うとあまり変わらないからです。
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物の価格は需要と供給で決まる
デビッド・リカードが一度は捨てた「使用価値」の概念を、マーシャルやジェボンズ、ワルラスといった経済学者たちが改めて発展させました。
物の価格は、需要の強さ(=使用価値の大きさ)と供給の強さ(=交換価値の大きさ)のバランスによって決まるというものです。
「人々の欲求に対してどのくらい物が豊富に入手できるか?」「どのくらい希少であるか?」によって価格が決まるというものです。
ダイヤモンドは、人々が欲しがる量を入手するのが困難なため高価になり、水は人々が必要とする量を容易に入手できるため安価であるという考え方です。
この考え方でいけば、例えば、水不足でどこへ行っても水が買えない状況になれば、当然 水の価格が大きく上昇するということになります。
これが経済学の基本原理である「需要と供給の理論」です。
需要・供給曲線と均衡点
グラフは需要と供給の関係性を表したもので、横軸が商品やサービスの量、縦軸が価格を表します。
需要曲線は、商品の数量が増えれば増えるほど価格は下がることを示しています。
一方、供給曲線は価格が上がれば上がるほど売りたいと思う人が増え、商品の数量も増えていくことを示しています。
そして、この二つの曲線が交わる点が最も多くの売り手と買い手が満足するところで均衡点と呼ばれています。
市場経済では常に商品の価格は均衡点に向かって引き寄せられます。
均衡点とは分かり易く言うと、多くの人にとって「ちょうど良い状態」のことを指します。
例えば、あるモノの価値が均衡点より高い場合、供給量が需要量より大きくなります。
すると商品の売れ残りがたくさん増えて、倉庫に在庫が積みあがります。
そこで、売り手は在庫を処分するために人々が買いたいと思う価格まで値下げをします。
このようにして価格が下がってくると、買いたいと思う人(需要量)が増えて供給量が減り、やがて両者が均衡点で交わります。
このとき、価格と量は経済学的な意味で「もっとも効率的な状態」になります。
需要と供給の考え方を分析できる者は商売を制すことができる
需要と供給があらゆる物の価格を決めるということは理解できたと思います。
商売をするにあたっては、この需要と供給の状況をしっかり分析できる者が勝者になるケースが多々 見受けられます。
逆に、いくら自己満足な商売をしていても、需要と供給を分析できなければ商売で成功する可能性は低くなるでしょう。
あらゆる価格の動きは、この需要と供給の考え方で把握することができます。
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