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「急に売上げが下がったと思ったら、ライバル会社が新製品を発売していた。」
「メディアで同業他社の製品が注目されたことで、自社製品も売上が上がった。」
なんてことはよくある話です。
このように、ある人や企業の経済活動が、無関係な人や企業に影響を及ぼすことを「外部性」といいます。
参考:【ミクロ経済学8】完全競争と独占。 意外と知らない「企業の4つの競争形態」について解説。
今回はこの「外部性」について学んで行きましょう。
負の外部性と正の外部性とは?
自由市場は、基本的に自社の利益のために動くことで成り立っていますが、そのような経済行為が無関係の人たちに良い影響を与えたり、悪い影響を与えたりします。
※利己的な行動が経済の発展に繋がることをアダムスミスが「見えざる手」と表現しています(経済学の重要な考え方の一つ)
参考:【ミクロ経済学1】経済学とは何か?どんな学問か簡単にわかりやすく解説!
ポジティブな方向に働くことを「正の外部性」、ネガティブな方向に働くことを「負の外部性」と呼びます。
例えば、あなたがラーメン屋を経営しているとして、近くに大手の激安居酒屋がやってきたとします。
激安居酒屋が来ることによってその地域のお客様が増加し、結果あなたのラーメン屋も賑わうかもしれません。
逆に、あなたのラーメン屋でも居酒屋メニューなどを提供していたのであれば、激安居酒屋の出現で一気に売り上げが下がる可能性もあります。
いづれにしても、あなたにとっては無関係な経済活動が、あなたに大きな影響を与えているのです。
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正の外部性を学ぶために必要不可欠な「知的財産権」
正の外部性の代表例に技術革新があります。
これは、企業などが長い年月をかけて新しい技術を研究し、一つのプロジェクトを成功させるようなものを指します。
技術革新が成功すれば正の外部性が働き、プロジェクトを成功させた企業以外にも良い影響を与えることが多いです。
このように一見素晴らしい技術革新ですが、しっかりとそれを守る規制がない市場社会では上手く機能しません。
なぜ機能しないのか例を挙げて解説します。
例えば、ある企業が多額の費用と年月をかけて技術研究に取り組んだとします。
もし、そのプロジェクトが失敗したら、費用がかさむことで利益が大きく減り、その企業は競合他社に負けてしまいます。
最終的には大きな損失を出すことになって、倒産の危機に追い込まれるかもしれません。
仮に成功したとしても、全く規制がない自由市場の環境においては、完成と同時に競合他社にその技術を盗まれてしまう可能性があります。
そうすると、新技術を発明した企業は多額の費用を負担しただけで、何の利益も得ることができずに競合他社に負けてしまいます。
そこで、重要なのが知的財産権です。
以下に知的財産権を挙げて解説します。
特許権
発明の使用および販売に関する独占的権利が国に保障されることで守られます。
その権利は国ごとに取得する必要があり、国ごとに有効期限も違います。
日本の場合は出願後20年となっています。
商標権
商品の提供者を消費者に認識してもらうための言葉や名前、記号、画像などを独占的に使用できる権利です。
これによって、企業は自らのブランドを確立することができます。
企業は、商標権を更新し続けることで永久にその商標を使用することができます。
著作権
著作物を独占的に利用できる権利です。
著作者の許可なく著作物を複製したり、利用することは法律で罰せられています。
一般的には、本、音楽、動画、絵画などが当てはまります。
その他の知的財産権
知的財産権には他にも以下のようなものがあります。
- 実用新案権
- 意匠権
- 著作隣接権
- 回路配置利用権
- 育成者権
- 商号権
- 肖像権
【企業秘密も立派な知的財産】
事業の強みとなるノウハウやプロセス、情報の中で一般的には知られないように企業自身が守っている企業秘密も知的財産の一つです。
例えば、有名なラーメン店のスープは当然 企業秘密でしょう。
これらは、特許を取得しているわけでもなければ、著作権もありませんが、企業自身が誰にも知られないように守り続けています。
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