【ミクロ経済学2】分業がもたらす3つのメリットとは?特化型分業によって市場経済が発達した。

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経済活動だけでなく、社会全般でも使用されるようになった「分業」システムですが、この始まりは18世紀に遡ります。

分業については、1776年に出版された「国富論」の第1編で、アダムスミスが論じていますが、この分業の定式化によって生産性に大きなメリットを示しました。

我々の生活が豊かになったのも、アダムスミスが考えた「分業」システムのおかげだと言っても間違いないでしょう。

今回は、「分業とは一体どのようなものなのか?」また「分業によってどのようなメリットがあるのか?」わかりやすく解説していきます。


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分業とはどのようなものか?

経済における分業とは、経済活動を行う上で、生産性の効率を挙げるために役割を決めて分担するシステムのことを言います。

何かモノを生産しようとしたときに、一人で全ての生産工程をこなそうとすると効率が悪くなり、商品を完成させるまでに時間がかかってしまいますよね。

また、商品を少量しか生産できないため生産性が悪くなってしまいます。
※経済学の基本的な考え方は別記事を参考にしてください

参考:【ミクロ経済学1】経済学とは何か?どんな学問か簡単にわかりやすく解説!

そこで導入されたのが「分業」です。

わかりやすくスポーツを例にして説明します。

例えば、サッカーには、FW、MF、DF、GKなど様々なポジションがありますよね。

同じく野球も、ピッチャー、バッター、内野手、外野手などのポジションに分かれています。

これらのポジションでは、それぞれ必要な能力や知識が異なり、役割も全く違います。

この様に、一人が一つのポジションに従事することを経済学では特化と呼び、皆が特化して仕事をこなしていくことを分業と言います。

次に、会社組織の場合を考えてみましょう。

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  • 会社の方向性や経営戦略を考える「経営陣」
  • 経営状況を数値的に分析する「財務」
  • 会社内のお金を一括して扱う「経理」
  • お客様に商品を売りに行く「営業」
  • 会社のPRを担当する「広報」

このように様々な役割に分かれていると思います。

また、その中でも「広報-取材担当」「広報-デザイン担当」「広報-海外担当」などさらに細かく役割が分れているケースもあり、会社組織は完全特化型の分業制を用いることが一般的です。
※会社の組織形態については別記事を参考にしてください

参考:【ミクロ経済学10】ラインアンドスタッフの組織形態やメリット。ファンクショナル組織との違い。

この分業は、モノの製造工程などにおいても取り入れられています。

例えば、あなたが日頃使っている自動車も該当します。

自動車で使用されている部品は2万個~3万個にも及ぶと言われ、調達や加工、製造は様々な国や企業をまたいで行われています。


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分業を導入することでの3つのメリット

この分業を導入することによって、どのようなメリットがあるのか?

これから、3つのメリットを挙げて解説していきます。

得意でなおかつ地の利を生かせる

例えば、牛乳を作る工程において、乳牛を育てる人と牛乳パックを作る企業では、それぞれ別の技術を必要とします。

乳牛を育てるのは北海道などの寒い地域が適していますが、牛乳を充填する牛乳パックは、雪が積もり易く物流コストが高い北海道で製造するメリットがありません。

そこで、牛乳パックは自社で製造せず、外部の企業から納品します。

製紙会社から納品することで物流コストを抑えることができますし、製紙工場も依頼受注することで利益を上げることができます。

つまり、Win Winの関係です。

このように、それぞれの人や土地に向いた仕事を生かすことで生産効率がアップします。

1つの仕事に集中すると習熟しやすい

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例えば、バイオリン、フルート、チェロ、サックスなど複数の楽器を日替わりで練習している音楽家と、毎日バイオリンだけを練習している音楽家とでは、おそらく数年後に演奏したときのバイオリンの習熟度は大きく違うはずです。

もちろん、毎日バイオリンだけ練習している後者の習熟度が大きく上でしょう。

これは、企業戦略でも同じです。

多方面に手を広げる企業よりも、コア・コンピタンスに特化した企業が生き残る傾向があるのも、この習熟度に差があるからです。

これとは逆に、もともとは特化型の戦略であったにも関わらず、軌道に乗ったことで新しくアレコレと手を出し、経営破綻する企業も少なくはありません。

※コア・コンピタンス:その企業の核となる独自の「強み」。他者が真似できない技術やノウハウなど

規模の経済を活用できる

規模の経済とは、大量生産によってコストが下がる傾向を指す言葉です。

年間10万台を生産する大きな家具工場と、年間に300台しか生産しない小さな家具工場では、その1台当たりの生産コストは前者の方が大幅に安くなります。

それは、家具の生産に特化し、組み立てラインによる製造過程を洗練させているからです。

規模の経済が働くことで、車工場やテレビ工場、冷蔵庫工場などが各地に多数に存在しなくても、企業により洗練された状態で一括で生産され、私たちの元へ運ばれてくるシステムが出来上がったのです。

参考:【ミクロ経済学3】「需要と供給とは何か?」をわかりやすく解説!価格は需給バランスの均衡点で決まる。

分業は個々の知識とスキルの低下を招く

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分業は、経済的に貧しい国より豊かな国のほうが進みやすい傾向にあります。

例えば、日本の東京に住んでいる人たちは、農業や農畜、漁業の仕事が一切できなくても美味しい米や肉、魚を毎日食べることができます。

また、電化製品の構造を知らなくても、様々なハイテク家電に囲まれて便利に生活をすることも可能です。

しかし、経済的に貧しい国の人々は、先進国のような分業システムが整っていないため、自分たちの知恵やスキルなどの範囲で自給自足の生活をするしかありません。

経済学者のロバート・ハイルブローナーは次のように述べています。

圧倒的多数のアメリカ人は農作物を育てたこともなく、獣狩りをしたこともなく、家畜を飼ったこともなく、小麦を小麦粉に挽いたこともなく、小麦粉からパンを作ったことさえない。
衣類を作るとか、自分の家を自分で作るとかの課題に直面しても、ほとんどのアメリカ人は絶望的なまでに何の訓練も受けていなければ、何の準備も出来ていない。
身の回りにある機械類のちょっとした修理さえも、彼らは、例えば自動車修理や配管工事などの仕事をしている自分たちのコミュニティの他のメンバーを呼ばなければならない。
逆説的なことだが、アメリカが豊かになればなるほど、平均的な人たちには、何の助けもなく単独で生き延びる能力がないことがますます明らかになっていくのである。

『経済社会の形成 原著第12版』より抜粋

分業によって市場経済が発達した

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分業は市場経済の発達と切っても切り離せない存在です。

人々のやりとりを中心とした市場経済は、すぐれた分業の仕組みを実現し、非常に豊かな暮らしをもたらしました。

店に行けば、ありとあらゆる商品やサービスが手に入り、先進国の人々にとってはそれがほとんど当たり前にもなっています。


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